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会員:阿久津 壽之 _ AKUTSU Hisayuki

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コメント/プロフィール

造形畑でいかに創るか(I)

世間一般では、職種や仕事の専門などの違いを「畑違い」と云うことがある。このことから私のやっていることは「造形畑」とでも云えるか。最近の私の絵の表現方法は、絵かきと云うより、絵作りと云った方が適当のようだ。畑の仕事をするためには、種子を蒔かなければならないが、私の持っている種子はYという形のものだ。この種子の形は造形という作物を作るのに気むずかしいところがある。第一にアルファベットのわいの字に似ているが決してそれではない。似て非なるものなのだ。第二に、形の一か所が直角になっていること、第三に三本ある触手の長さが二本は同じ長さで、あとの一本は他の二本より少し長めが良いようだ。この三つの要件を満たした種子でないと造形がうまくいかない。つぎにこの種子をどう育てるか、そこが私のいちばん力を入れるところだ、でき上がるものは生命感をもった抽象画だ。Yの形は幾何学形で無機質なイメージだが、私の目指すものは生命感のある印象の作品に育て上げたいのだ。Y(種子)は絵を組み立てる単位形となる。このときにいちばん恐れるのはパターン化することだ。連続模様のようにならないことだ。Yの形と形のつながりが、全体の広がりやまとまりをもって美的に一つの空間に仕上がって行くことが大切なのだ。また、作品の一つひとつが同じような画一的なものにならないようにする。

そのためには、一作一作、多くのスケッチ(エスキース)に時間をかける。ただし、時間をかけさえすればいつも良くなるというものでもない。絵の構想がまとまる過程でひらめきを見逃さないことが大切だ。

その見定めの瞬間を経て、空間の組み立て、色彩、マチエールというものを総合的に整理してまとめにはいる。そして作品の完成へと進み、完成の喜びと達成感を味わうことができれば、そのことが次の制作への意欲に高まって行く。また今日も造形畑の仕事が続くのである。

(2010・5・美文関東機関紙原稿 阿久津 壽之)


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