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会員:川崎 勝裕 _ KAWASAKI Katsuhiro

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コメント/プロフィール

図面仕事の延長線上で、自分の感性を開放して外部にあるものを無条件に取り込み、図面画きの手法でそれらを再構築した場合、その構築物を芸術作品と呼ぶに相応しいか否かは別として、それは私の中のダイナミズムによって統合された一種のモニュメントとなるであろうという予見を常々抱いていたが、その予見は図面表記が私の中で固有の言語として定着しつつあることに気づく瞬間が度々訪れたことにより、やがて確信へと変わった。

感性を開放するとは、あらゆる事物を偏見に囚われることなく自分の中に取り込むことであり、また取り込んだ事物を同様に外部に向かって放射することである。そこには善悪や美醜、貴賎といった区別はなく、すべてが同等の存在感を有する。即ち高邁な思想も下劣な事柄も私の中で同等の立場を保ちつつそれぞれが活性化または熟成して外部に溢れ出る機会をじっと窺っているわけである。

それらはあるときは意味不明の文字の羅列となって現れ、あるときは突然変異の生命体となって空中を浮遊し、またあるときは奇怪な行動を伴う魔女や少女となって現出する。私はこれを図面仕事の延長としてキャンバス上に坦々と描き写す。正確に言うと私の心の中で活性化或いは熟成して、そのエネルギーを外部に発散せざるを得なくなった事物とその状況をできるだけ克明に、また脚色は控えめに、彩色された図面として完成させるということだが、この作業の実態は意識とも無意識とも判定しがたい混沌とした私の心の世界を明瞭な形に顕在化しキャンバスという平面上に物質化することであり、その意味で完成品は私にとって一種のモニュメントである。

最近、無数の奇怪な物体や事柄が蠢く私の心の中を実験室と命名することにした。これら奇怪な物体や事柄の活性化、熟成がさらに促進されることを願って。


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