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黒を背景にして
藁の綱によって孔雀の二枚の羽の入った金属の缶が吊るされている。そこからスカーフが垂らされていて、そのスカーフが鮮やかな印象である。そっと緑の孔雀の羽が風にそよぐ。周りは黒いバックで、そこに繊細な三つの葉が浮遊している。四季が変化しながら、生成し死滅するものがある。日本人のもつ季節感、時間に対する感覚が面白く表現されている。いま藁の綱は切れかかっていることが、ある季節の終末を思わせて興味深い。
画家は最小限の事物を象徴的に使うことによって、深い寓意性を表現する。加えてこの作品ではバックの黒い空間が大きな役割をしている。パリで活躍した長谷川潔の版画の特色であるマニエール・ノワールは国際的な評価を受けているが、同じような深沈として繊細で強い黒の性質がバックにある。
(高山 淳/「美術の窓」2010年10月号より)
1948年愛媛県松山市生まれ。77年美術文化展初入選、佳作賞2。岡山県美術展大賞、県知事賞、山陽新聞社賞他。個展2。グループ展多数。岡山県美術展招待。 岡山県美術家協会 会員ページへ
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