○ ご挨拶 ○


作家精神とは・・・

浅野代表の写真

最近の公募団体では会員の高齢化がささやかれ、若い作家たちをいかにして魅きつけられるかが大きな課題となってきているのが現状です。美術文化協会でも会員の出品が少なくなっていることは事実です。

しかしながら嬉しいことに、ある評論家が美術新聞の紙上で「第74回美術文化展は第一室から十三室まで各室に緊張感があり、見応えがあリ、全室を見るには疲れました。」と記されていました。どの室もさっと見過ごすことが出来なかったと言われているのだと思います。これが全ての鑑賞者の声とは思いませんが、私には納得できる点があります。

それは審査の際、一般出品者の中に作品の完成度は決して高くないものの自分の想いや思考をしっかリ持っていると感じられる作家が数多くいることを実感していたからです。また、会友や準会員では、自分の世界を深く掘リ下げている作品が多く見られました。

これらは、今後の協会の発展にとって非常に喜ばしいことです。

しかし協会の質を問われるのは、何と言っても会員の作品群です。

第74回展の会員の作品を見てみますと、シュルレアリスム的表現で自分の深層心理を描き出そうとしている作品、色彩や形、構成等で自分の世界を自由に表出している作品、また現代社会を批判的な眼で見つめ自身の思考をぶっつけている作品等々、個々の世界観が際立っているように思います。

現代社会のように様々な価値観が溢れ、混沌としている情勢は、第一次大戦後の大きな芸術運動であるシュルレアリスムが台頭してきた状況と非常に類似しているように思います。この混沌とした時代背景を意識しつつ、自作について日々自問自答し、「自分はなぜ絵を描くのか」という事を突き詰めて考えることが必要なのではないでしょうか。

このことは協会に所属する全ての作家の使命であり、これこそが美術文化協会の真の作家精神というものでありましょう。

明日の自分を信じて、更に制作に取リ組んでいきたいものです。


代表 浅野輝一 (2014年10月:機関誌より)



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