○ ご挨拶 ○


会員として今為すべきことは・・・

浅野代表の写真

今年もまた全国の作家達が多才な表現力を駆使し、各々の世界観を高らかに謳い上げている作品群に出合うことができました。

美術界で、団体展無用論が叫ばれ始めて久しくなります。確かに、団体展への出品者が年々減少してきていることは否めません。 しかしどの団体も厳しい運営の中、各々に特徴ある展示を継続し、会の長い歴史を刻み続けています。 それは、団体展に所属する作家達が心血を注ぎ大作、力作に挑戦し、自身の制作への姿勢を問い続けているからに外なりません。 また団体展に作品を並べることにより、他の作家達の思考、表現方法などから強い刺激を受け、新たな制作への意欲が高められるからでもありましょう。

このような団体展のメリットを享受しつつ会員として、会のために何を為すべきなのでしょうか。 もちろん会の運営に関わる様々な義務を果たすことは当然のことです。 しかし、より問われるのは個人としての制作を日常的に継続し、発表していくことにあるのではないでしょうか。

よく言われる一年に一回、団体展に発表することのみに陥る「たなばた作家」にだけはならぬ様、強い作家精神を持ち続けることが何より大事であると思います。 私は常々、絵を描くことは自分にしかない鉱脈を掘り探すことであると言っています。 それはあちこち右往左往しながら自分の思考を確かめたり、自分にしかない表現方法を模索したりすることが何より大切だと思っているからです。

ところで美術文化協会の会員は地方の作家が多く、東京で発表する機会が少なく非常に残念な思いがします。 私の夢は、地方で作品を発表し、意欲的に活動している作家達に、東京で発表する機会を作り、他団体の作家や美術評論家、そして一般の鑑賞者から多くの刺激を得たり、いろいろな角度からの評価を受けて欲しいということです。

嬉しいことに最近、他団体の作家や評論家、画廊のオーナー等から、「美術文化の作家が個展やグループ展をよくやっている。」とか、「今まで美術文化の作家のことをよく知らなかったが、自分の世界を持っている人が多く、新鮮に感じる。」などという貴重な感想が聞こえてくるようになりました。 現に、画廊のオーナーや評論家の推薦で個展やグループ展を開催している美術文化の作家が次々と増えてきています。 これらは、会の活性化に何より大きな力になっていることと喜ばしい限りです。

会にだけ目を向けるのではなく、一人の作家として、自分の内なる世界観を広く画壇に問い直すことが重要でありましょう。

先ずは一人ひとりの作家が、自分の制作に情熱を持って向き合うことだと思います。 それらの力で美術文化展が活性化すれば、必ずや若い出品者に会の魅力が伝わり、美術文化に注目してくれている方達の理解が得られ、大きな反響が生まれるであろうと確信しています。


代表 浅野輝一 (2018年10月:機関誌より)



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